ニュースリリース

高砂工場の改善活動から生まれた「反応缶用足場ハイボード」
ハイビックス、芦森工業とともに製品化に成功
~危険が伴う缶内作業のリスク低減、販売も開始~
東洋紡エムシー株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長執行役員CEO:森重 地加男、以下「当社」)は、株式会社ハイビックス(本社:岐阜県瑞穂市、代表取締役:高井 順子、以下「ハイビックス」)、芦森工業株式会社(本社:大阪府摂津市、取締役社長:財津 裕真、以下「芦森工業」)と共同で、原料の化学反応を促進させる「反応缶」内に設置する「反応缶用足場ハイボード」を開発し、このほど芦森工業が販売を開始しました。はしごに代わる安定した足場として使用でき、危険が伴う缶内作業のリスクを低減できる製品として、化学メーカーなどでの活用が期待されます。
■開発の経緯
反応缶は銘柄切替のたびに、作業者が缶内に入って内部を洗浄する必要がありますが、従来ははしごに登った状態で洗浄を行っており、転落の危険性があるなど改善が求められていました。また、反応缶内部は傷付きやすいガラスコーティングが施されているため、缶内で目視や触診を行うといった点検作業が必要で、こうした作業もはしごに登って行っていました。
当社高砂工場(兵庫県高砂市)のケミカル製造ユニットのメンバーは、危険性の高い缶内作業のリスクを低減しようと、東洋紡グループの改善活動「S-UPサークル活動」の一環として課題解決に着手。空気で膨らませた器具を活用するアイデアをエアー治具メーカーのハイビックスに相談し、試作を進めました。試行錯誤の結果、開発に成功し、2023年7月に当社、製造元のハイビックス、販売元の芦森工業の3社で、「反応缶用足場ハイボード」の特許を出願いたしました。
■「反応缶用足場ハイボード」の概要
ハイボードとは、立体織物の表面をPVC(ポリ塩化ビニル)の樹脂でコーティングして気密性を高めたものです。空気を加圧充填することで厚みと強度を持つボードとなるため、子供用のプールやレジャー用ボートなどに応用されています。
開発したハイボードは、反応缶底部の攪拌翼の上に設置する「環状ハイボード」(高さ30cm)とその上に積層する「扁平ハイボード」(高さ15cm)からなります。作業員は、まず反応缶の底部に環状ハイボードを設置し、空気を充填して土台を作ります。その上に扁平ハイボードを置き、空気を充填して必要な高さにまで積み重ねた後、扁平ハイボードに乗りながら洗浄作業などを実施します。缶の下部を作業する際は、扁平ハイボードの空気を抜いて高さを調整します。作業終了後は扁平ハイボードと環状ハイボードの空気を抜き、マンホール(作業員が出入りする穴)から取り出します。

※実際の作業時は、扁平ハイボードを45度ずつずらして隙間を埋め、転落を防止する
■「反応缶用足場ハイボード」の特徴
・はしごを使用しないため、安全性の向上とともに作業の効率化が可能。
・金属部品を使用せず全て樹脂製のため、反応缶内部のガラスコーティングの傷付きを低減。
・加工性が高く、様々な形状に加工できます(例:攪拌翼や攪拌軸を避ける形状)。
・環状ハイボードと扁平ハイボードは吸引装置を用いて圧縮できるため、反応缶からの出し入れが容易である上、コンパクトに収納できます。

※実際は缶内で充填する

■今後の展開
「反応缶用足場ハイボード」は、2024年に芦森工業から販売を開始し、化学メーカーや反応缶メーカーなどに向けて拡販を行っています。当初は、当社の改善活動から始まった取り組みですが、ハイビックス、芦森工業の協力を得て、製品化することができました。
東洋紡グループは、「サステナブル・ビジョン2030」において、「全ての現場でゼロ災害達成」を掲げております。「反応缶用足場ハイボード」の展開を通じて、当社だけでなく、様々な製造現場の安全確保に寄与してまいります。
(参考)「S-UPサークル活動」について
東洋紡グループの業績貢献、職場活性化、能力開発を基本理念に、チーム(以下「サークル」)が課題解決に向けて取り組む改善活動のこと。またその過程を通じて、自己啓発や相互啓発を図ることも目的とします。高砂工場ケミカル製造ユニットのサークルは、長年の課題であった「反応缶内作業のリスク低減」をテーマに設定し、取り組みました。その結果、東洋紡グループから選抜されたサークルが発表を行う「S-UPサークル全社大会」で、最も印象的な発表を行ったサークルに授与される「MIC(Most Impressive Circle)賞」を受賞しました。

以上
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